32 血液型考

知らないことに気づいていないかも

 
今回は巷でよく話のネタにされる血液型の話。
 
私の手元にある「数字でわかる人体の奇跡」(サプライズBOOK著)という本によると、血液型には現在判明しているだけで60種類以上という分類の型があって、その組み合わせからは115京29,000兆通りのパターンが考えられるとのこと。つまり、全く同じ血液型を持っている人は誰もいない可能性が高いということだけど、それでは今回の話が前に進まないばかりか、数字に弱い私は「ほーーーぉ!」とただただ驚愕するだけで思考が停止してしまうので、よく言われるABO型だけに絞って話をすすめます、ハイ。
 
まず、違う血液型の血液が混ざると凝血が起きるので、輸血は必ず同じ血液型のものでないといけないことはみんな知ってのとおり。
 
で、A型とB型(この場合、正確にはAO型とBO型)の両親から生まれる子どもの血液型は、A型、B型、AB型、O型となって全てのパターンがあるわけだけど、例えばB型の母親がAB型の子どもを身ごもることに疑問を抱くことはないと思うのね。
 
でも、AB型の胎児がB型の母体の中にいて大丈夫なのか考えたことはある?
 
胎児は母体の血液から酸素や栄養素などの生命維持や発育に必要なものをもらい、老廃物などを逆に排出してもらっているわけで、ちょっとだけ考えるとB型の血液が通う母体の中でAB型の血液が通う胎児は、へその緒で母体と繋がっているわけだから双方が危険な状態になったりしないのか不思議に思ってしまうのね。
 
でも大丈夫なのものは大丈夫なわけ。
 
生まれるまでは母体と同じ血液型なのが、へその緒を切った瞬間からDNAレベルで決定された血液型へ急速に変化していく、、、というのはウソ。
 
その秘密は胎盤にありんす。胎盤の中には母体側の血管開口(血管の末端が塞がっていない状態)が幾つもあって、動脈の血管開口から母体の血液が吹き出して胎盤の中に拡散し、静脈開口から母体側に戻っているのね。一方、胎児側には、へその緒の中から伸びた血管が胎盤内を樹状に広がった組織の中に通っていて、その静脈で胎盤の中に吹き出した母体の血液から血漿を介して酸素や栄養素を取り込んだり、動脈で逆に二酸化炭素や老廃物を排出しているわけ。
 
その構造がイメージできない人はググってもらえば解説図が見られるので詳しい説明は省略。と言うと、このネタ自体に対して知ったかぶりをして書いているなと思う人もいるかもしれないけど、そのとーりデス。
 
さて、母体側の血管は末端開口部分で胎盤内に直結していても、胎児側の血管は普通のものと同じで末端が閉じていて、しかも樹状組織の中にあって胎盤内に直接露出しているわけではないわけ。つまり、母体と胎児は胎盤・へその緒で物理的に繋がっていながら胎盤の中で血管が繋がっているわけではなく、血液が混ざったりしないようになっているわけ。
 
胎盤って凄い!よくできているもんです。
 
 
 
 
 

(2012.01.22作成)