7 限定モノに弱い

やっぱり仕方ないのよん

 
例えば、貴方がチョコレートを買おうとして「期間限定」と記されたモノがあったらどうだろうか。ワタシならたいてい限定モノを手にしている。ま、パッケージを見て、いかにも美味しくなさそうだったら手に取ったモノを商品棚に戻すことはあるが、最初から無視して他のモノを買うことはあまりない。
 
この期間限定というのがくせ者で、「冬季限定」とか「夏季限定」とかパッケージに記されいるのだが、季節という境目のあやふやなもので販売期間を限定されてしまうと、今買っておかないと来年まで食べることができない、いや、商品寿命サイクルが短い商品だと、ひょっとすると来年は限定販売がないかもしれないという危機感に後押しされ、ふと我に返るとレジで支払いをしていたりすることがよくある。
 
限定というよく分からない付加価値を謳うことで購買意欲の関心を自社の製品に向けようとする消費者の心理の隙間を衝いた販売戦略に見事にはまっているワタシであるが、この限定モノは何も季節タイプだけでなく、いろいろなバリエーションで我々に襲いかかってくる。
 
例えばご当地モノ。
定番となった有名スナックやチョコレートを各地方由来の味風に仕立て、地域限定で販売しているヤツである。旅先の土産物屋にさりげなく、かつ、目立つように置かれていて、修学旅行の学生はもとより、たまに旅行に出た人々を惑わし、まるで催眠術にかかったかのように手にさせることで知られている。
 
やはり目立つようにするためだろう、通常のパッケージではなくジャンボサイズで売られていることが多い。旅先の人をターゲットにしているのであればパッケージは小さい方が荷物にならず好まれるように思うのだが、どーやらそうではないらしい。
 
それから初回モノ。
CDやDVD等で初回プレスのみ限定のボーナストラックとかボーナスメディアが付いていたり、特別パッケージやおまけ付きだったりするモノである。我が家にも昔買った初回プレス限定の透明なレコードや純金蒸着CDなんかがある。これも今買っておかないとという気持ちにさせられる効果がある。
 
また、この親類に予約モノというのがあり、ある程度売れ行きが予想される商品を対象としたものが多い。映画やコンサートの前売り割引や特典付きチケットなんかもこの一種で、企業にとっては発売前から消費者の関心を惹き、より確実な購買促進と商品の販売見込みも容易になるという一石二鳥のテである。
 
さらには、会員モノ。
この場合、他と違うのは、その商品の販売促進というよりも会員になってもらうのが主な目的である点である。「今入会の方には特製グッズをプレゼント!」に代表されるキャッチフレーズで入会促進を目論むいわばエビで鯛を釣る商法で、入会特典グッズだけでなく会員限定サービスと称して一般から閉ざされたサービスや購入可能商品を設定している。
 
入会金や会費については無料から高額なモノまで多彩であるが、ワタシが弱いのはもちろん無料コースである。「今入会の方には特製グッズを抽選でプレゼント!しかも、入会金、会費無料!」という言葉に踊らされて会員になった事が何回もある。たいていは利用価値のない会員限定サービスが多く、入会していることさえ忘れているものである。無料とはいえ、住所や電話番号といった個人情報という現在のネット社会では高価な対価を払うので、最近はむやみに手を出さないようにしている。
 
ちなみに、ワタシが入会後も時々利用しているのは皆さんご存じの一○.comとかであるが、直接ホテルに電話したり、そのHPで予約するより割安な額で宿泊ができたりする。ワタシが昔学校で習った範囲では、流通システムの中に介在する組織や団体が多ければ多いほど末端価格は高くなるものだが、この場合逆転している。
 
ホテルみたいな大きな施設の稼働率を上げながら、ある程度身元の知れた客を呼び込みたいという経営方針とネットの会員制システムがうまくリンクした手の込んだ割引クーポンみたいなモノだが、それによってユーザーを含むそれぞれに利益があるのだからよくできている。
 
そういえば、就職して最初に買ったバイクも限定モデルであった。当時、月額2万円の小遣いで暮らし続けること9ヶ月、ようやくバイクを購入する資金が貯まったので何を買おうか考えていた頃である。選択肢として残ったのが、ホンダのNS250RとヤマハのSRX4。メーカーだけでなくカテゴリーも異なる2台なので、選択に迷っている内にヤマハが第2世代レーサーレプリカTZR250を世に出しため選択肢は3つとなった。
 
しかし、それまでにない斬新で美しいデザインのSRX4でも新世代の性能を誇るTZR250でもなく、NS250Rを選択した理由の一つに全国4,000台限定のRothmansカラーモデルの存在があったことは否定できない。
 
お菓子の限定品と違い、バイクや車のような耐久消費財(ずーっと以前に死語となっているか…。)の限定品には、それが限定であるが故につきまとう辛い現実があったりするが、それはまた別のところで語るとして話を戻そう。こういうのは、スペシャルエディションとかスペシャルカラーモデルとかネーミングされることが多いので特別モノと言えよう。
 
その他にも、子ども限定、成人限定、高齢者限定の年齢モノや女性限定、宿泊者限定、住民限定、学生限定などの立場モノ等々、気が付けば世の中にはたーくさんの限定が存在しており、本当に限定なのかあ?と首を傾げることもあるが、お菓子でもバイクでもなんだか普通仕様ではないと思わせるモノにワタシは弱いのである。
 
 

(2007.11作成)